東京地方裁判所 昭和53年(ワ)4927号 判決
以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。
【判旨】
以上認定の事実によると、被告らは、本件借地権の譲渡につき原告の承認を容易には得られないであろうことを察し得たのに、深く考えず、敢えて譲渡契約をなしたのであり、また、原告から被告宗近との本件土地賃貸借契約の解除の意思表示がなされた後、被告ら間で前記譲渡契約を解除する旨の合意をしたものの、改めて将来の売買を予約するとともに本件建物について賃貸借契約を締結し、その賃料債権と売買代金返還請求権とを相殺することを約して被告宗近から被告会社への売買代金の返還をせず(これは、恰も被告会社が被告宗近に対し、向う一八年四ケ月分の賃料の前払という異例のことをしたことになる)、他方、被告会社はその費用負担において本件建物に改装を加えてこれに入居するなど事実上所有者として振舞い、合意解除の実質を伴わないのであつてこれらの事情を考慮すると、被告宗近のした本件借地権の譲渡に背信性がないとはいえないものというべきである。
(佐藤安弘)